期間限定?二次創作ブログサイト。
海常です。
黄笠のつもりです。
友人に原稿頑張れ―、と押し付けたもの。
その一。
あの人の背中はこんなに小さかっただろうか。
泣きはらした目。
けれど、どこかすっきりとした顔で一人一人に声をかける姿を見つめて思った。
コートの中ではあんなに大きく感じたというのに。
「黄瀬」
「笠松、せんぱい」
ぼんやりとしているうちに目の前に本人。
ぐしゃぐしゃと髪を撫でられる。
「頑張れよ」
「あ……っ」
何か言わなければと思ったのに。
咽喉に声が絡まって何も言えなかった。
そんな黄瀬ににこり、と笑って。
笠松は少し先で待っていたほかの三年生のところまで走って行ってしまった。
見えなくなる背中。
無意識に伸ばした手が力なく落ちた。
三年生たちを見送って、練習が再開される。
ざわめきが、活気が体育館に戻ってきた。
けれど、黄瀬の心にはぽっかりと大きな穴が開いたような虚無感が広がっている。
出入り口を向いたまま動けない。
「黄瀬ーー!!!」
呼ばれる声に緩慢に振り返った。
早川が呆れたような怒ったような声で呼んでいる。
「今、行くッス」
急に広く感じる体育館。
どうにかそれだけ返事をすると「早くこい!」と怒鳴り返されて、その姿は再びコートの中へと戻って行った。
コートへ戻るべく一歩、二歩踏み出して。
誰もいなくなった出入り口を振り返った。
無意識に口が開く。
「オレは、」
――先輩が好きでした。
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プロフィール
HN:
しん
性別:
非公開
自己紹介:
今吉さん狂の文字書きレイヤー。喋る雑食。
年齢職業不詳な変な人。
好きなものは友人、ピアス、刺青、センチメンタルサーカスの団長さんにテディベア。
蝶、龍、蜘蛛(非生物)、植物、空、海、月。お茶、紅茶、珈琲、柑橘系果物(特にグレープフルーツ)
熱しやすく冷めやすい。迷惑体質。接触嫌悪症。
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好きなものは友人、ピアス、刺青、センチメンタルサーカスの団長さんにテディベア。
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