多分、ボツ原稿。

何かのボツ原稿。
勿体ないのでペタリ。

ボールの音が響く体育館。その中に、伊月の姿はない。
　どこか覇気のない日向の声が飛ぶ。
「そこ、声出せ、声」
　飛んでくる指示にも勢いはなく、空気を読まない木吉でさえ困り顔でその背中を見ていた。
「主将、元気ねぇな今日……」
　バシッ、とワンバウンドでパスされてきたボールを黒子にパスし直しながら火神がぼやく。
　怒られたいわけではないが、あの姿は正直、見るに堪えない。これならまだ、八つ当たりでもされたほうがいくらかマシだった。
「まぁ、原因は伊月先輩でしょうね」
　トンッと、上手く勢いを受け流し、最低限の力で黒子は火神にボールを返した。
　その脳裏に思い出すのは、土曜日に送られてきた一通のメール。短く『伊月を知らないか？』とだけ送られてきた文面に日向の焦りが見えた。
「あー、そういや来てねーよな」
　軽々と受け止めたボールを降旗にパスしながら火神は体育館の中を見回す。いつも日向と木吉と並び立つ姿は今日はまだ見ていなかった。
　土日が休練日だった為、火神が最後に見た伊月は金曜日、酷い顔でぶつかった姿。
「……大丈夫だったのか、あの人」
「どうでしょうね」
　不意打ちで投げられてきたボールを、見事顔面でキャッチした降旗からのパスの軌道を火神へと変えながら黒子は、そっと日向を盗み見た。
　いつも通りに指示も練習もしているようなのに、どこか心ここに非ずの様子だ。危ないな、と思っていたら相田の雷が落ちた。
「ちょっと、日向くん！？　やる気ないならコート入らないでっっ！」
　怪我したらどうするのよっ、と叱りながら、腕に抱えていたタオルを投げつける。
「もう！　伊月くんは体調不良で休みだし、部長のアンタまでそんなんでどうするのよ！」
「……休み？」


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なんだろう；
何の原稿だっただろうか。