君色太陽

お友達の誕生日祝いに送りつけたもの。
黄瀬と高尾！！
これぞ男子高校生！なノリが好き。

――♪

「？」

軽快な音を立てて携帯電話が鳴った。
この音に設定してあるのは一人だけ。
ぱかり、と開いた携帯電話のディスプレイに『新着メール一通』の文字。
迷わず開けば、絵文字でカラフルなメールが現れた。

「ったく、女子高生かよ……」

苦笑をひとつ。
手早く返事を打ち返して、制服のポケットに押し込んだ。
今日は学校側の都合で部活がない。

「高尾、顔が緩んでいるのだよ」
「うえっ！？」

ぐい、と眼鏡のブリッジを神経質に押し上げながら隣で一部始終を見ていた緑間が冷静に突っ込みを入れた。
妙な声と一緒に思わず頬に両手を当てる。ぐにぐにと数度頬を引っ張って、緑間を見上げた。

「真ちゃん、ひどいー！　俺はいつだってイケメンですよ」
「……馬鹿馬鹿しい」

心底そう思っている顔で溜め息までつかれたが、高尾は気にしない。
いつものことだ。
わーわーと騒がしく昇降口を抜け、校門へ向かった。

「……あれは、何なのだよ？」
「……………」

校門の辺りに、女子が群がっている。
不審な顔をする緑間。高尾は酷く嫌な予感がした。

「あー！　高尾！　緑間っち！！」

近づいて行けば、女生徒に囲まれている黄瀬がぶんぶん、と手を振る。
そのまま「じゃ、俺いくから」とするり、と抜け出してしまった。
未練がましく黄瀬を見ていた女生徒たちも、緑間と高尾を見て大人しく引き下がる。

「……黄瀬、何でお前がここにいるのだよ」

呆れた顔で問う緑間に「今日、部活ないって聞いたからっス！」と要領を得ない回答をして、高尾の腕をとった。

「お前なぁ、いるならいるってきちんと言えよ」

なんのための携帯だよ、と腕に黄瀬を纏わりつかせたまま、高尾が眉を下げる。
それにシレッと「驚かせたかったんスよー」と返す黄瀬に、しょうがねぇなぁと高尾が笑った。

「…………」

二人の様子を無言で見ていた緑間はもう一度溜め息をつくと、ぴたり、と足を止める。
高尾がそれに気づき、一緒に黄瀬も足を止めた。

「真ちゃんー？」
「お前らには付き合っていられないのだよ」

しっし、とばかりに手を振ると、普段の帰宅コースとは違う路地を曲がっていってしまう。
一瞬、追いかけるべきかと迷ったが、腕にくっついている黄瀬を思い出し、結局高尾は緑間に手を振るだけに留めた。

「また明日なー！」

反応はなかったが、満足げに頷くと腕にくっついている黄瀬を見上げる。
高尾の視線に「ん？」と首を傾げて笑う黄瀬に思わずどきりとした。

「んで、今日は何だよ」
「折角、部活お休みなんスから、オレとデートでもどーっスか？」

心の底から楽しそうな笑顔に言われて、断れるわけもなく。
しょーがねーなー、と頷いた。

「やった！」
「わざわざ俺のとこなんかこねーでも、女の子でも誘えばいいのに」

ぎゅむ、と抱きついてくる黄瀬に「変なヤツ」と笑って。
水色の制服を着ている背中をポンポンと叩いた。




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下校デート。←





「今日はあっちーな……」
「もうすぐ夏っスからねー」
「お、コンビニ発見！　アイス食おーぜ」
「いいっスね！　何でもいいなら、奢るっスよ？」
「やりぃっ！　ガリガリ君がパピコでいーぜ」
「……安上がりっスね」
「わりーかよ」
「ぜーんぜん！」

ちょっと待っててくださいっスー！、と走って行く背中を見送る。

「あいつも、我慢強いよなぁ……」

先日、好きだと言われた。
返事はいつまででも待つ、とも。
自分の気持ちがわからない。
でも、嫌いじゃない。

「あいつのことカッコイイとか思ってる時点で俺の負けかねぇ……」

自分に向かって笑う顔が真夏の向日葵のようで、酷く眩しいと思った。

「いつ、好きだって、言おう……」





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