夢を見た。

仮眠してたらこんな夢を見たので書き起こしてみた。
特に意味はないです。
あー……原稿が、終わらない…………

ゆるり、目を開ける。
暗い室内。
カーテンの隙間から差し込む月明かり。
ぼんやりと浮かび上がった部屋は自室ではなく、さりとて知らないものでもなかった。

「あぁ……」

そう言えば今日は泊まったんだっけ、と。
吐息と共に零して、瞬きを二回。
素肌に触れる他人の肌の感触にくすぐったさがこみ上げる。
伊月は自分の状況を確認して間近に眠る顔に視線を移した。
当然と言えば当然に眼鏡のない顔。
少し、新鮮なような、不思議な感じがするような。
そっと指を伸ばして額にかかる黒髪を後ろへ流す。

「んぅ……」
「っ…………」

僅かに身じろぎされて、ビシリと硬直した。
抱きしめてきていた腕の力が少し強くなっただけで、目は覚まさない。
それに、安堵と残念に思うのと半分半分。
見つめる先の綺麗な、けれどきちんと男性らしい顔に小さく溜め息をつく。
抱いてくれている腕が苦しい。
勘違いしてしまう、愛されていると。
同情や気まぐれで構ってもらえているだけなのに。

「……好き、です」

貴方が好き、と。
消えそうな声で囁いて、唇に触れるだけのキスを落とした。
ジッ、と見つめる顔。
目を覚まさないのに、今度は落胆する。
何を期待していたのだろうか。

「はは……」

自嘲の笑みを浮かべると、額を今吉の裸の肩に押し付けるようにして目を閉じた。




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