マイブーム！！

今吉さんと伊月さん！！
黒髪美人が二人！！
リクエストいただいたのでー。
ssの書き方を忘れていて、本気で焦りました；

ザーザーと、雨音が響く室内。
ワンルームのマンションの部屋の窓から、伊月はぼんやりと空を見ていた。
通り雨かと思われたそれは一向に止む気配を見せない。

「どうしたんや？」
「あ、いや……」

少しだけ高いところから不思議そうな声に話しかけられて、視線を戻した。
思ったより近くにあった今吉の顔に息を飲む。
声を噛み殺し、伊月はゆっくりと息を吐き出した。

「なんでも、ないです」
「さよか」

ぎこちない返事に少し笑って、髪をぐしゃぐしゃと撫でられる。
あまりに自然な流れで、反応もできなかった。

「…………」

一拍遅れて羞恥がやってくる。
何も言えず、手に持ったマグカップの珈琲を一口啜った。
隣に座る今吉をそっと盗み見れば、同じようにマグカップを傾けている。
整ったラインの横顔。
黒い髪、柔和に見える表情、細い双眸。
その奥の鋭利な眼差しと、今の緩み切った空気の差に脳が混乱する。

「……なぁ、伊月くん。そんなに見つめんでや」
「え、あっ」

思考の海に潜っている間に横顔だったはずの顔は正面で伊月を、どこか困ったように見つめていた。
図らずとも見つめる形になってしまっていて、羞恥で穴があったら入りたい気分になる。
カッ、と朱の差した伊月に「かなわんなぁ……」と今吉がぼやいた。

「……？」

上手く聞き取れず伊月が体を寄せる。頬をするり、と今吉の手が撫でた。
ついでに、とばかりに体を引き寄せられ、近くなる体温に焦る。

「あ、あのっ」
「自分、あんまり無防備やと危ないで？」

ワシみたいなのに悪さされてまうわ、と。耳朶に直接吹き込まれる低音。
ドキドキと一瞬で心臓の鼓動が早くなった。
頭上で笑う気配。

「冗談やって。こうやってくっついとる方があったかいやろ」
「…………」

さらりさらり、と髪を撫でられる。
伊月は何も答えない。

「なんや、怒ったんか？」
「……いいえ」

あったかいです、と。ゆっくり体を弛緩させる。借りたシャツの肩がズリ落ちてくるのがわかる。
あまり体格差はないと思っていたのに、やはり、大きい。
それが悔しい。

「なんや、不思議やのぅ」
「この状態を招いたのはそっちだと思いますが」

たまたま普段より遠くのスポーツ品店に寄った伊月が降り出した雨に見舞われて。
そこをたまたま通りかかった今吉に回収された。
ただ、それだけのこと。
濡れた制服のシャツは洗濯機の中で、上着は壁にかけられている。
伊月が着ているのは今吉のシャツとズボンで。
あまり体格がかわらない、と思い借りてみたら見事に一回り大きかった。
着替えている間に淹れられた珈琲を有難く受け取って、二人でソファに座っていたはずなのに。

「せやなぁ……そんなこと言うたかて、ワシにも下心はあんねんで」
「……そうですか」

触れるか所から伝わる体温が心地いい。
チラリ、上目使いで見上げれば、僅かに瞳が大きくなったのが見えた。
それにクスリと笑って。

「雨、やみませんね」
「……そうやな」

小さく呟く。
拍子抜けしたように返す声にひっそりと笑う。
この意味が貴方に伝わったら、何か変わるのだろうか。
髪を撫でられる感触に、そっと目を閉じた。



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『月がきれいですね』が愛してるなら『雨、やみませんね』はもう少しあなたの隣にいさせてください、だと可愛いよね！と言うのをどこかで見かけたので。←
白夜さんへ！！
微妙な感じになってしまいましたが、どうぞー><*